腹部ヘルニア外科センター
鹿児島県・宮崎県で初めて開設された、腹部ヘルニアの専門治療センターです。
腹部ヘルニア外科センターについて
鹿児島県、宮崎県で初めてとなる「腹部ヘルニア外科センター」を開設しました。
「腹部ヘルニア」の治療は、身近なクリニックから総合病院まで、多くの外科診療施設で行われています。しかし、これまで鹿児島県内の総合病院には、ヘルニアを専門に治療する施設はありませんでした。当センターは、鹿児島県内で初めて、専門的かつ高度なヘルニア治療を提供する施設です。
ヘルニア専門外来では、鼠径部切開手術(前から切る手術)を二渡医師が、腹腔鏡手術(お腹の中から治す手術)を林医師が担当し、7名の外科医が手術にあたっています。
ヘルニア専門外来の診察日
| 担当医 |
診察日 |
時間 |
| 林 知実 |
木曜日 |
13:00~17:00 |
| 二渡 久智 |
水曜日 |
9:00~12:00 |
電話相談・ご予約について
※当院は完全予約制です。受診には紹介状が必要になります。
外来予約センターへお電話ください。
TEL 0995-55-0107 /
FAX 0995-55-0162
- 外来予約センターへお電話のうえ、「ヘルニア専門外来」の予約をお取りください。
- 1日あたりの予約枠に限りがあるため、ご希望日以外でのご案内となる場合があります。
紹介状をお持ちの方は、受診当日にご持参ください。紹介状がない場合は、かかりつけ医またはお近くの医療機関を受診し、紹介状をお受け取りください。
腹部ヘルニア外科センター医師の紹介
(2026年9月1日現在)
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腹部ヘルニア外科センター センター長・外科部長
専門・資格・所属学会等
- 日本外科学会専門医・指導医
- 日本消化器外科学会消化器外科専門医・指導医
- 日本内視鏡外科学会技術認定医(消化器・一般外科領域:鼠径ヘルニア手術)
- 日本ヘルニア学会評議員
- 日本ヘルニア学会鼠径部ヘルニア修得医
- 九州ヘルニア研究会世話人
- ロボット支援手術 Certificate(Console Surgeon)
- 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- 日本消化器病学会消化器病専門医
- 日本緩和医療学会緩和ケア研修会終了医
- 日本静脈経腸栄養学会TNTコース修了医
- 臨床研修指導医養成講習会修了医
- 日本DMAT隊員
- 医学博士(鹿児島大学)
当番世話人
第18回九州ヘルニア研究会学術集会,鹿児島,2025年9月27日
主な学会報告
第23回日本ヘルニア学会学術集会(盛岡,2025)、第37回日本内視鏡外科学会総会(福岡,2024)、第17回九州ヘルニア研究会学術集会(熊本,2024)、第22回日本ヘルニア学会学術集会(新潟,2024)、第16回九州ヘルニア研究会学術集会(大分市,2023)、第21回日本ヘルニア学会学術集会(大阪市,2023)ほか、腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP)に関する演題を多数発表。
原著論文
「腹腔鏡下鼡径ヘルニア手術(TAPP)における術前難易度予測スコアの有用性について」鹿児島大学医学雑誌 70:9-15, 2018.
座長
第18回九州ヘルニア研究会学術集会(2025)、第17回九州ヘルニア研究会学術集会(2024)、第87回鹿児島臨床外科学会 医学会 ヘルニアセッション(2024)ほか
講演
第7回鹿児島ヘルニア塾(2025)、第23回宮崎TAPP塾(2024)、南九州TAPP倶楽部(霧島市,2020〜2021)ほか
医療従事者専用サイト
2026年6月19日と8月3日に、当院で提供している腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(TAPP法)の手術手技動画が、医療従事者専用サイトに掲載されました。
- TAPP法 左膀胱ヘルニア(腹側アプローチ)
- Lap Progrip™を用いたTAPP法~腹腔外牽引を活用したダブルハンドテクニック~
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腹部ヘルニア外科センター 外科医師
二渡 久智
Hisatomo Futawatari
専門・資格・所属学会等
- 日本外科学会専門医・指導医
- 日本消化器外科学会消化器外科専門医・指導医
- 日本消化器病学会消化器病専門医・指導医
- 消化器がん外科治療認定医
腹部(おなか)ヘルニアとは
「ヘルニア」とは、体の組織が本来あるべき位置からはみ出してしまった状態のことをいいます。脱出する部位や原因によって様々な種類があり、主なものに「鼠径部(そけいぶ)ヘルニア」「腹壁瘢痕(ふくへきはんこん)ヘルニア」があります。
腹部ヘルニアが起こりやすい部位
ヘルニアが飛び出す仕組み
ポイント1
自然に治ることはありません
腹部(おなか)ヘルニアは、筋膜が弱くなって腸などが皮膚の下に出てしまう病気です。治療をしなければ自然に治ることはなく、基本的には手術が必要になります。
ポイント2
受診いただく診療科は「外科」「消化器外科」です
症状がある方は、泌尿器科・婦人科・整形外科ではなく「外科」「消化器外科」を受診してください。正確な診断のために、適切な診療科の受診が大切です。
ポイント3
実はとても身近な病気です
とくに鼠径部ヘルニアは、年間約15万人が手術を受けている、最も件数の多い外科手術です。盲腸や胆石よりも多くの方が治療しています。一人で抱え込まず、ぜひご相談ください。
(1)鼠径部(そけいぶ)ヘルニアとは
「鼠径部」とは、脚の付け根の部分のことです。「鼠径部ヘルニア」は、お腹の一番内側にある膜(腹膜)が袋状に飛び出し、本来お腹の中にあるはずの腹膜や脂肪、腸の一部が鼠径部の皮膚の下に出てくる病気です。俗に「脱腸」とも呼ばれます。お子さまは生まれつきの要因、大人は加齢による組織の衰えが原因といわれています。
鼠径部ヘルニアの症状
初期には、立ったときやお腹に力を入れたときに、鼠径部の皮膚の下に柔らかい膨らみを感じます。指で押さえたり横になったりすると引っ込むのが特徴です。
ほかにも、次のような症状が時々みられます。
- 突っ張り感
- 不快感や違和感
- 内臓が引っ張られるような感覚
- 便秘 など
鼠径ヘルニアになりやすい方
乳幼児の鼠径ヘルニアはほとんどが先天的なものですが、成人では加齢による組織の衰えが原因となり、40代以上の男性に多くみられます。腹圧のかかる製造業や立ち仕事に従事されている方に多い傾向があります。便秘症、前立腺手術後、咳がよく出る方、腹部大動脈瘤をお持ちの方は危険因子とされています。
放置すると危険な「嵌頓(かんとん)」に注意
次のような症状があるときは、急いで医療機関を受診してください。
- 膨らみが急に硬くなる
- 膨れた部分が押さえても引っ込まない
- お腹が痛くなる、吐いてしまう など
これを「嵌頓(かんとん)」といい、急いで手術をしなければ数時間で腸が壊死してしまい、命に関わることもあります。
(2)腹壁瘢痕ヘルニアとは
お腹の手術や外傷などのあと、そのキズ跡(瘢痕)が膨らんで出っ張ってしまうことがあります。この状態を「腹壁瘢痕ヘルニア」といいます。立ったときや、咳・排便などでお腹に力が入ったときに膨らみが大きくなり、仰向けに寝ると元に戻ることが多いのが特徴です。症状がない場合も多くありますが、痛みや便秘を伴うこともあります。
腹部(おなか)ヘルニアの治療
腹部ヘルニアは自然に治ることはありません。ヘルニアバンド(ベルト)で脱出を抑える方法もありますが、これは治療とはいえず、現時点では手術が唯一の治療法です。
次のような場合には、手術をご検討いただくことをおすすめしています。
- 痛みを伴う
- 見た目がとても気になる
- 生活に支障をきたしている
- ヘルニアが大きくなり、その部分の皮膚が薄くなっている
- ヘルニアにより腸閉塞(ちょうへいそく)の危険性がある
- 嵌頓(かんとん)している
手術について
当院にはヘルニア専門の外科医が在籍しており、病態や患者さまのご希望に応じて「腹腔鏡手術(お腹の中から修復する手術)」と「前方アプローチ(ヘルニア部位を直接切開して修復する手術)」を選択しています。通常は1泊2日の入院となりますが、条件を満たす方には「日帰り手術」も可能です。
(1)人工補強材を使用しない後壁補強手術(従来法)
鼠径管の口を縫い縮め、腹部の筋肉や筋膜を糸で縫い合わせて補強する方法です。“つっぱり”ができやすく、術後の痛みや違和感の原因になることがあります。加齢でさらに筋膜が弱くなると再発することがあり、再発率は約2~10%と報告されていて、現在のガイドラインでは推奨されていません。
(2)人工補強材(メッシュ)を使用する後壁補強手術
人工補強材(メッシュ)を使う方法で、現在のガイドラインで推奨されています。筋膜の弱い部分をメッシュで補強することで、従来法に比べて再発率が低く抑えられます(約1%)。前方アプローチには①クーゲル法、②メッシュプラグ法、③リヒテンシュタイン法、④ダイレクトクーゲル法などがあり、腹腔鏡手術には①TAPP法、②TEP法などがあります。
前方アプローチについて
鼠径部に3~5cmの切開を行い、ヘルニアを修復する方法です。

クーゲル法
メッシュを鼠径管の奥側から補強材として挿入し、筋膜の弱い部分を広く覆って補強する方法です。

メッシュ・プラグ法
飛び出した部分に円錐状のプラグを挿入して塞ぎ、あわせてメッシュのシートで筋膜を補強する方法です。
腹腔鏡下手術(TAPP法)について
おへそに1箇所(1cm)と、その他5mmの創2箇所から腹腔鏡と鉗子を挿入し、お腹の中からヘルニアを修復する方法です。腹腔鏡用の鉗子を用いることで傷を小さくでき、両側に発生した鼠径ヘルニアを同じ傷で一度に手術できるなどの長所があります。手術費は前方アプローチよりやや高額になりますが、高額療養費制度を利用すれば大きな差にはなりません。

創の位置(イメージ)

手術の様子
手術までの流れ・手術後の経過
手術までの流れ
手術は全身麻酔で行います。外来で採血検査・心電図検査・呼吸機能検査・心臓超音波検査・負荷心電図など、手術に耐えられるかどうかを確認するための検査を行ってから手術に臨みます。通常は、①初診外来・手術日の決定、②術前検査(1~2日)、③手術の説明(可能な限りご家族同伴でお願いしています)と、最低3回の外来受診が必要です。なお、緊急手術の場合はこれらの検査が十分に行えないまま手術となるため、通常の手術より合併症の可能性が高くなります。
手術後の経過
手術当日の夕方には、お食事をとったり歩いたりすることが可能です。傷の抜糸は不要で、入院中にシャワーを浴びることもできます。手術翌日には、ほぼすべての患者さまが退院されています。

手術当日の夕方から食事が可能

手術当日の夕方から歩行が可能

退院直後から軽い運動・事務仕事が可能
ただし、重い物を持つことや激しい運動など、お腹に力が入ることは手術後1か月程度は避けてください。ゴルフ・テニスなどのスポーツは、術後1か月を目安に少しずつペースを上げていただけます。
外来は手術後1~2週目に1回受診いただき、問題がなければその後の通院は必要ありません。手術した部分は半年ほど少しつっぱり感が残ることがありますが、その後は気にならなくなります。日常生活では、野菜や水分を多めにとり、便秘にならないよう心がけてください。
今後のヘルニア手術について
当院では2025年2月の新病院移転にあわせて、最先端のロボット支援手術機器を導入しました。ロボット支援手術は、手ぶれ補正機能や多関節機能、3Dカメラによる拡大視効果により、より精密で安全な手術を実現します。現在、当院では大腸・胃・膵臓の手術にロボット支援下手術を取り入れています。
2026年6月より、鼠径ヘルニアに対するロボット支援手術も保険適用が認められました。今後は、最先端のロボット支援手術を鼠径ヘルニア手術にも応用することを検討しています。